1.環境問題の歴史
環境問題の歴史
 
環境問題は、ここ数年毎日のように誌上をにぎわしているが、室内環境の問題から地球環境に至るまで極めて広い範囲のものがある。
 環境問題の歴史は、わが国では1960年代から1970年代中期にかけて発生した公害による社会問題から始まっている。その後、光化学スモッグなどの大気汚染、地下水汚染などによる環境の汚染が顕在化し、1980年代中期には地球温暖化の防止、オゾン層の保護など世界における地球環境問題と歩調を合わせるかのようになってきた。そして、1990年代に入ると、廃棄物問題にも議論が進み、1992年、国連の地球サミット(アジェンダ21)において、全世界に地球環境問題の重要性が認知され、各国とも本格的な取り組みの段階に入ったといえる。
 近年は、環境問題は更に幅広く展開しており、ホルマリンやVOCなどによる室内空気汚染や、焼却によるダイオキシンの排除、最近ではブロムも健康に関わる問題として注目されてきた。地球環境の保全の面から最大の課題として取り上げられてきた地球温暖化対策は、1997年の京都会議(COP3)以来、我々の生活に関係のある問題として取り組まれるようになった。そして、ここ数年は廃棄物・リサイクルの問題が大きく扱われるようになって、関連法規も矢継ぎ早に制定されてきている。
 この段階までくると、各分野での環境に対する取り組みも「守る環境」から「攻める環境」へと変化し始めているのである。

環境関連年表
環境問題および取り組み 主な内容
1958 ・水俣病 ・熊本
1962 ・「沈黙の春」発表 ・レイチェルカーソン
1965 ・公害対策基本法 ・環境7公害対策
1970 ・光化学スモッグ ・千葉、東京
1971 ・ラムサール条約採択 ・水鳥の生息地に関する条約
1972 ・「成長の限界」発表 ・ローマクラブが発表した報告書「100年以内に地球の成長は限界に達する」
1973 ・ワシントン条約採択 ・絶滅のおそれのある野生生物の主の国際取引に関する条約
1976 ・セベソ事件 ・ダイオキシン汚染
1979 ・長距離越境大気汚染条約 ・越境大気汚染の国際調査開始
1980 ・フロン生産能力の凍結 ・EC閣僚理事会においてフロンの生産削減を決定
1983 ・熱帯雨林木材協定 ・熱帯木材貿易の円滑かつ安定的な拡大を目的
1985 ・ウイーン条約採択 ・オゾン層を破壊する物質について研究と対策を講じる
1986 ・OECD ・有害廃棄物の域外への輸出に関する決定・勧告
1987 ・モントリオール議定書 ・オゾン層を破壊する物質の段階的削減
1988 ・ソフィア議定書 ・欧州各国の窒素酸化物の排出量を凍結
・オゾン層保護法を公布、施行 ・日本の加入
・ウィーン条約に加入 ・日本の加入
・日本モントリオール議定書に加入 ・日本の加入
1989 ・バーゼル条約 ・有害廃棄物の越境移動を管理するための制令を実施
・ハーグ宣言 ・地球温暖化問題に対する特別機関の設置条約などを提案
1990 ・モントリオール議定書 ・200年までにフロン全廃を決定
1992 ・アジェンダ21 ・持続的発展が可能な開発を実現するために各国の行動計画を具体的に規定
・ロンドン条約採択 ・廃棄物、その他のものの投棄による海洋汚染の防止
1993 ・バーゼル条約に加入 ・日本の加入
・環境基本法成立 ・環境保全に対する基本的な枠組み
1994 ・砂漠化防止条約採択 ・砂漠化の防止と干ばつの緩和の国際的な連携
1996 ・「奪われし未来」発表 ・シーアコルボーンらの環境ホルモン問題の告発
1997 ・地球温暖化防止京都会議(COP3) ・地球温暖化ガスの排出規制
・廃棄物処理法の改正 ・廃棄物法の大幅な改正
1998 ・地球温暖化対策推進大綱発表 ・地球温暖化防止行動計画
・室内空気汚染ガイドライン ・室内空気汚染低減の設計施行ガイドライン
1999 ・ダイオキシン特別処置法 ・焼却からのダイオキシン排出量規制値
2000 ・循環型社会形成推進基本法施行 ・循環型社会形成への基本的な枠組み
・厚生省VOCの室内濃度指針値 ・厚生省発表のホルムアルデヒドに7品目追加
2001 ・建設リサイクル法施行 ・登録制度施行、翌年から届け出制度、特定品目リサイクル
・PRTR法施行 ・特定化学物質の排出量把握および管理改善の促進
・グリーン購入法施行 ・官庁調達品の環境配慮製品優先処置
・世界 ・日本

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