2-1環境問題への取り組みの全体像
持続的発展が可能な社会構築の概念図

環境問題の概念
 
 環境問題は、地球規模ので資源、エネルギー、人口、食料などの諸問題、或いは経済問題とも密接な関係をもつものであり、まだ解明されていない問題を多く抱えているので、その全体像を把握するのは極めて困難である。しかしながら、現状では我々の周りには種々の環境問題が顕在化してきており、そに対して早急な対応をしなければならないという共通認識が徐々に形成されつつある。
このような状況下で、環境問題に対する世界的な合意は、アジェンダ21以来、目指している取り組みの方向を環境への負荷が少ない循環を基調とする経済社会システムの実現に置き、「持続的な発展が可能な社会」の構築を求めるものとしている。
 建築分野においても、「環境共生」と「資源循環」を両輪とする「持続的発展可能な社会」の構築に向けた各種の施策が講じられ始めている。上図はその概念を簡略に示したものである。
 建築活動を見ると、建築で使用する全ての材料は、地球から採取され地球へ帰されるが、現在の建築行為は、自然界の補充速度をはるかに超えていて、一つの建築物の寿命の中で代わりの天然資源が補給できない速度で資源を採取し、使用済のものを廃棄している。その結果として、地球環境及び地域環境に与える負荷を増大させ、人間の健康や安全性を損なう汚染を生み出し、資源の枯渇や最終処分場の逼迫をまねいている。
 従って、これからの建築活動は、限られた資源・エネルギーを有効に利用し、環境への負荷を低減させるために、「持続的な発展が可能な社会」に貢献する低環境負荷型・資源循環型の建築や都市を創出しなければならない。資源・エネルギーを節約し、有害物質を排除し、建物を長く使い、また廃棄物を単なる不要物として捉えるのではなく循環系の新しい資源として見直す必要がある。

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